team SAILORS
参加者インタビュー #1
Kanji NOGUCHI
聞き手
まずは今回のセーリングワークショップを体験してみていかがでしたか?
野口
趣味でヨットを5年くらいやっていました。とは言っても、乗せてもらって少しお手伝いする程度でした。
今回のように研修とかワークショップという形でやるのは初めて。とにかく、ただ単純に楽しかった。一方で、ヨットを違う視点から見ることができました。おかげで、日常や会社で応用できることに気づくことができました。例えばプライベートの壁とか、仕事の壁に向き合った時に、どう振る舞うかということの気づきが大きかったですね。
聞き手
趣味でのセーリングとどんな違いがあったのでしょうか?
野口
趣味でのセーリングはレースだったので、コースが決められていました。条件は参加者みんな同じ。どの風をつかんでどのルートで行くかは、ほとんど決まっているんです。
ところが今回は、目的地/目標地点は指示があるものの、どう進めていくかを自分たちで決めなければならない。しかも周りは未経験の方ばかり。セーリングに関して頼れる人がいなかった。周りの人に頼ることができない、というのが私のセーリング経験の中では初めてでした。
ただ、仕事でも家庭でもわからないことは起こりますよね。初めてでよくわからないってことは起こりうる。だけど、そんな未知の状況の中でもなんとかやっているわけです。仕事も家庭もこのセーリングも、そこは一緒だなと思いました。
聞き手
ワークショップを経験して自分に響いたこと、心に残っていることは何でしたか?
野口
どんな苦境におかれても自分でやるしかない、ということ。
逃げ場所はないんだな…と感じたのは久しぶりの経験。いつもは逃げてしまうことが多い。他の参加者はみんなセーリングが本当に初めてだったので、自分がやらなければ、と腹をくくる経験になりました。
心に残っていること。そうですね・・・。みんなでタックを決めた瞬間は楽しかったですね。チームワークが求められる仕事でした。6人で力を合わせてタックが決まった時は気持ちよかった。
実はあの時、みんなには申し訳ないけど「みんな大丈夫かな?」と思ってました。でも、結果的にうまくいった。自分には自分の役割があるし、でも他の人は心配だし。とは言っても全員を手伝ってあげるわけにはいかない状況でした。でもうまくいった。ですから、できたときは本当にうれしかったですよ。同時に、信頼するって大事だ、としみじみ思いましたね。響いたと言ってもいいでしょう。自分ひとりでは全てはできない。だからこそ、他の人に頼って、任せる。それを体験できたのも良かったです。
聞き手
セーリングワークショップ SAILORS では、セーリングの最中にいつもの、いつも仕事をしているときの自分が顔を出すと言われています。野口さんにも思い当たる節はありましたか?
野口
出ていましたねぇ。自分の弱い部分です。
先ほども言いましたけど、メンバーだけでなく、自分も信頼しきっていないところ。
それと、範囲を決めてしまう自分。「このくらいかな?」とチームの限界、メンバーの限界を決めている。自分自身にもチームにも限界を決めているから、決してそれ以上にはならない。これはいけないですよね。勝手に決めつけてしまう。マネージャーとしてやっていて「壁だな」と思うところです。
自分は冒険ができないタイプなんですね。自分でストーリーを決めて、その枠の中で抑えこもうとしてる。冒険したとしても、想定範囲内での冒険。限界を自分の中で決めている。失敗しない、というのを決める傾向があり、今回のセーリングでも現れていました。
聞き手
意外にコンサバティブなんですね。
野口
そうですね。意外と堅いというか、自分が見えている範囲内でうまくやろうとする。
枠からはみ出さない。自分の弱い部分です。ヨットの上だけじゃないですね。だから、もっとチャレンジしなきゃいけない、と思っているんですが、言い出せない自分がいる。そこが自分の越えるべき壁ですね。
あの時、ヨットの上で気づけていたら、何かできたかもしれませんね。
聞き手
逆に良かったところは?
野口
いろいろあったけど、自分が心のそこから楽しんでいた(笑)。そんな自分が関わることで、みんなが元気になっていたと感じました。
聞き手
「いける!」っていう雰囲気が出てきてましたよね。
野口
そこが自分のいいところの要素じゃないかな、と思います。周りを元気づけようとするような部分。少なからずプラスの影響を周囲に与えられている。それはこれからも自分の武器として使っていきたいな、と思いましたね。
聞き手
このワークショップをオススメするとしたら、どんな人にオススメでしょうか?
野口
マネージャーと最前線で頑張っている人やアシスタントで、ワンチームでやるといいと思います。同じ職場や同じチームのメンバーでやるのが効果が高いような気がします。
普段一緒に仕事をしている人たちが、全く違う環境でどう振る舞うのか。セーリングのような刻一刻と状況が微妙に変化する中で、さらに時折やってくるタッキングのようなチームの力をひとつに合わせないといけない場面の中で、いつもと違う側面が見える可能性がありますよね。
私も同じチームでやってみたいと思いますよ。自分で見てみたい(笑)。
聞き手
最後に、SAILORSの魅力を伝えるとしたら?
野口
セーリングに参加していると自分が消える瞬間があるんです。普段は自我があるが、セーリングの最中は風と潮の流れがすべてですよね。風と潮の流れをつかもうとしていると、自分のことを考える暇がないんです。最大限、自分の意識をそちらに向けて、しかも身体を使っていると、自分が消えるんです。フローな状態っていうことかな。風をつかんで前に進んでいるとき、自分が消えている瞬間があるんですよ。
スキーや登山もそうじゃないかな?気持ちと身体がどんどん入っていって、自分が消えている瞬間が気持ちいいんです。あれは理想的。私はいろいろなスポーツが好きでやるんですけど、スキューバ、トレイルランニングをやっているときもそうなんですよ。
本来、仕事もそうなんじゃないかな。目の前のことを懸命にやっていれば、私利私欲が消えて同じ状態になれる。エゴとか利己が消えた状態で仕事をやれていると、結果的にお客様への仕事の成果がでている。
それは自分が求めている理想の状態ですね。
セーリングでそれを体験できるのも、このワークショップの魅力だろうな。
聞き手
ありがとうございました。
話し手:野口完司さん(都内IT企業勤務)
聞き手:折口みゆき(ギビングツリーパートナーズ)